野田阪神・海老江での詳細調査に行ってきました。

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    JUGEMテーマ:住宅

     

    先週末は福島区海老江の築80〜90年の長屋の詳細調査でした。

    ここが実家である住まい手は、リフォームして住み継ぎたいという気持ちは強いながらも、床や壁の傾きも激しく、「果たしてリフォームして住み続けることができるのか、耐震性能はどの程度なのか」心配されての調査の依頼でした。

     

     

     

    (プライバシー保護のため一部画像を加工しています。)
    一見、長屋とは分かりにくいですが、左隣の3階建てとつながっています。

    私ひとりで下見と平面の採寸に伺ったのは1ヶ月前。

    2階の床は少し目まいがするくらい、いろんな方向に傾いています。

     

     

     

    目視でも家の歪みが分かります。

     

    福島のシェアオフィスに入っている3人の建築仲間に同行してもらい、6/16に4人で詳細調査をしてきました。

    西久保さん・平賀さん・中野さん、いずれも家屋調査に手慣れていて随分と頼りになり、いろんな助言をくれます。

     

     

     

    今回は小屋裏や床梁を確認できる点検口がほぼなかったため、天井板などを慎重にはがして見えないところを確認していきました。

     

    現在の住まい手は40年以上前にこちらを中古住宅として買われたので、建物の履歴や構造がどうなっているかは、これまでよく分かっていませんでした。

      

    構造が分からないまま、先代がリフォームや修繕を繰り返してらしたので、耐震という面ではこの家が強いのか弱いのか全く分からず、建築当時の形がどうなっていたのか変遷を知ることも難しい状況でした。
       
    戦後すぐの米軍の航空写真にはすでに写っている長屋ですので、戦前から建っていたことは間違いありません。
       
    住み始めてから初めて見る小屋裏の写真です。
       
       
      
    いきなり何かの部材が外れています・・・。
    ほとんどの仕口はトン付けでホゾはなく、棟木の継ぎ手もわずかなアゴが乗っているだけ。
      
    中引梁は厚み80mmの大きな板で、そこに掛かる登り梁は乗っているだけで相欠きはありません。
    一部の梁は途中で止まっていて、軒桁とはつながっていない様子。
      
      
      
      
    これは長屋の隣家との境ですが、向こうの家はリフォーム時に断熱材を入れていますが、こちらは建築当時のまま無断熱です。
    土壁の小舞いが見えますが、小舞壁の上には梁がなく、なぜかその奥に梁があります。
      
    そして棟木を周辺をよく見ると、なぜか棟木は途中で切れて連続しておらず、突いてあるホゾは宙に浮いています。
    棟木を受ける束もいかにも乗っているだけで組まれていないことがよく分かります。
      
     

     

    上の写真を見ても壁の位置と梁の位置はまったく無関係です。

    そして登り梁の端部は、ここもアゴがかかっているだけのようです。

     

     

    次に床下です。

    築80〜90年とのことですので、当然まともな基礎はありません。

     

     

     

     

    ほとんどの柱が土に立っているように見えます。

    もしかしたら土の下に石があるのかもしれませんが埋もれているのか、現状では柱が土に接しています。

    レンガは基礎ではなく、隙間ふさぎとして使われています。

    一部コンクリートブロックが見えるのは戦後にリフォームした際のもののようです。

    土壁の下に足固めもなく壁が土に埋もれています。

     

     

     

    下屋になっている水周りの床下は湿っていて、石が積んであったりレンガがあったり色んなものを使っているようです。

    外壁側にあった換気口は、後のリフォームによって塞がれています。

     

     

     

     

    柱にもホゾは無いようで、せっかく敷き土台があるところも大きくずれています。

    最近のリフォームで新しい添え柱か束が立っていますが、古い柱や梁を修繕した様子はありません。

    木の土台が土に接しているところは、ずいぶんと腐朽が進んでいました。

     

     

    次に2階床梁を調べていくと、こちらにも雨漏りや腐朽のあとが見えました。

     

     

     

     

    胴差には雨染みがあり、掛けはずいぶんと痛んでいます。

    右写真の掛けは何かの転用材です。

    明治後半から終戦までの大阪は、大火や水害で何度も町が壊滅状態になってきたため、見えないところも木材は古い材を転用することが多かったようです。

    奥に竹小舞が見えていますが土壁は梁まで達していません。

     

     

     

     

     

    2階の隅柱の下や隅木には、やはり漏水により腐朽と蟻害がありました。

    シロアリに食われているところはドライバーが簡単に深く入りました。

     

     

     

     

    水周りの屋根は比較的最近やりかえられているようですが、古い野地や小屋組みを残したまま別の屋根組みを掛けなおしたようで、細い垂木の上に大きな角材が乗せられていたり、かなり場当たり的な大工仕事が繰り返された様子が分かります。

     

    ここまで見てきて、建物の構造の様子や履歴がだいぶ掴めるようになってきました。

    長屋の構造としてはよくある問題を抱えているといえると思います。

     

    今までと違って今回の長屋でずいぶん特殊なのは二重壁の存在です。

    たくさんの古民家調査に参加してきた平賀さんも初めて見る構造だとのこと。

     

     

     

     

    どういうことかと言うと、2階の外壁の一部と界壁の一部が、なぜか二重の壁になっており、外から見た大壁外壁と内から見た真壁外壁の柱芯が330mmほどずれて、微妙な隙間のデッドスペースが存在しているのです。

     

     

     

     

    つまり大壁外壁の内側に真壁内壁が二重に並んでたっているのですが、この二つの壁や梁があまりしっかりつながっていません。

    二つの壁がつながっていないので、これらの壁や構造材はかなり自由に大きく動きます。

     

    いろんな方向に柱も床組みもコケますので、2階の床壁の大きな傾斜はこれも原因の一つであると考えられます。

    屋根や基礎はかなり簡素な造りなので、2階の壁がこんなに面倒に二重の構造になっているのかは疑問です。

    断熱や防火の効果を期待したとなると、なぜ2階だけなのか説明がつきません。

     

    調査は済みましたが、これをどう解釈してどう診断するかはこれからの仕事です。

    大阪の長屋や戦前の木構造の歴史も紐解きながら、この建物をどうしていくべきか考えていきます。

     

     

     

     


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